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芝居で出合った 演出家、俳優の 現場のイイ話。私の本箱、イメージを言葉にする とっておきの方法 。 エッセイ、イラスト、本のコレクションの紹介、その他 私のお気に入り あれこれ 

見た聞いた!

小津安二郎「お早よう」はフランス映画の匂い(1)

   小津映画の色彩

 久々にBS放送で「お早よう」(1959年)を見た。

昭和30年はじめの
東京郊外の文化住宅に暮らす家族の
日常をスケッチした作品。

見ているうちに思った。
(あれ…これって、50年代のフランス映画の匂いがする)
それは、色彩と 洒落っ気

そこで今回はその 「色彩について…」。

初めに目に留まったのが
どのカットにもワンポイントになっている
赤の アクセント。

食卓やカウンターに ちょこんとのっている
唐辛子の缶の赤。
干した洗濯物の中で 一対だけが赤の洗濯バサミ。
塗り椀、フラフープ…等等。

探していくうちに面白くなった。
よく見ないと気づかないけど
あ、あそこに!そこにも!…。

決して大写しにはならない。
あくまでも、小さなワンポイント。
全体に地味な色合いなだけに
鮮やかな 赤が なんとも印象的。

それから
衣装や、小物なども 神経が行き届いている。

まず男の子の服が小粋だ。
ジーンズにセーター
(この時代にジーンズはまだあまり一般的じゃなかったなあ。
私も3才の時に母に ジーンズのオーバーオールを買ってもらったっけ)
その男の子が 
出かける時はジャンパーに 
ひょいと チェックのマフラーを巻いている。
このチェックの赤も ワンポイント。

セーター、ジャケット、コート、バッグ
着物や羽織や、半纏にエプロン 
普段の さりげない服装が
なんでこんなにオシャレなんだろう。
そして、登場人物が並んだとき
服の色のバランスが 絶妙。

服だけじゃない。
湯呑み、小皿、薬缶などの
日常の なんでもない器の美しさ。
それも、決してアップになんかしない。
それとなく置いてあるだけ。

そうか…小津映画のカメラは低い位置だから
ちゃぶ台や カウンターが 目の高さにある。
そうすると、横一直線に並んだ食器や小物が
なんとも ピタリと いい位置に置かれている。
こんなところにも、神経を届かせてるんだ。

その低いカメラが 
スーッと引いていくと
家の中の 縦と横のラインが美しい。
戸の桟、家具などのラインが入り交じって
…ああ、これはモンドリアンの絵のよう。
ファブリックの縞やチェックも効いている。

文化住宅の 生活感のある
いろんな物が 和洋とりまぜて
ガチャガチャと入り混じる
それなのに、そこに美しさを感じさせている。

最近、こういう何でもない美しさって
なかなかお目にかかれない。
洗練された小津安二郎の美意識が
映画の中に これ見よがしでなく詰まっていた。





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プロフィール

はんがん

Author:はんがん
河崎早春(かわさき さはる)
俳優、朗読家。

舞台の案内、これまでの舞台、仕事歴は
公式HP 「ことばの国」

朗読、語りの様子はYouTube
「ちりぢごく」「瘤取り」ほか

YouTube Facebookにて「本に囲まれて」
本に関する情報を発信中。

プライベートな 趣味の世界は Facebook

なお、武者小路実篤記念館のHPで
詩の朗読の映像も見られます。
→ 「詩の世界」

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