芝居で出合った 演出家、俳優の 現場のイイ話。私の本箱、イメージを言葉にする とっておきの方法 。 エッセイ、イラスト、本のコレクションの紹介、その他 私のお気に入り あれこれ 

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斎藤真一「吉原細見記」

十代の頃に画家、斎藤真一の瞽女の絵を見てからその世界に惹かれて、画集や本を集めたことがあります。そんな中にあったのがこの「明治吉原細見記」。

斎藤真一の母は、7歳の時に久野おばさんの養女になりました。
「なにしろ太夫にまでなった人だからね」
と母が自慢げに話していました。そんな母から聞いた話をもとに、明治20年代の吉原について、細かく調べ上げ、画文集となったのがこの本です。

ちょうど、樋口一葉の「たけくらべ」が書かれた頃の吉原遊郭の世界。一葉は見ることがなかったけれど、まさにその時代の廓の中の出来事が、膨大な資料とともに描かれています。

なにしろ坪内逍遥はじめ、政財界の人の奥さんになった太夫もあり、当時の吉原の太夫のごく一部には、幸せに身請けされた人もいたことがわかります。またそのことを、あえて隠さないどころか、むしろ花魁を妻にしたことを、今でいう人気女優と結婚したように自慢する風潮もあっったのです。
 
日本文学を読むためには、色街のことを調べる必要が出てくるのですが、その時に、最初に読むべき本が、これといってもいいほど、よくまとまった読み物になっています。
この祖母の話は、絵草紙「吉原炎上」で、物語となって描かれています。

それにしても、斎藤真一は藤田嗣治とパリで親交があったそうですが、嗣治の「白」に対して、斎藤真一の「赤」もとても印象的です。なまめかしさの中に、女の業、情念、寂しさ、運命を象徴するかのように、細々と、時に激しく燃え上り、それは吉原大火の業火なって町を包んでいきます。

遊郭に関連する細々とした説明も書かれていますが、これが、まるでエッセイのように斎藤真一の主観が入っていて、なかなか面白いのです。
例えば 「傾城屋」
「吉原のような廓を『傾城屋』つまり、城を傾けさせてしまうところ、と呼ばれていたことをべつに今まで不思議にも思わないでいた。(中略)
それは、吉原というところは、単に女性の肉体を商いしていたところではなく、男女関係のもっとも劇的な『恋』そのものを商いしていたと思い至るからだ。
極端にいえば『人格』そのものを売っていたということになろうか。(中略)
本当の恋に落ちず、、すれすれの境界を遊ぶということは、どんなに残酷な仕事だろうか。
そういう『虚』と『実』のあい間を遊んだ場所だったからこそ、江戸文化人がむらがったのだと思う。」
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関口良雄「昔日の客」

多くの文学者たちに愛された、東京大森の古本屋「山王書房」。

昭和の大森の匂い、作家との交流、本への溢れる想い…

これは、心優しく、そして頑固な、古本屋店主の遺稿集です。

ユーモア溢れる名随筆。

「いい古本の匂いだ。…落ち葉の匂いと古本の匂いとは相かようものがあると思う…」 


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 本の蒐集家にとって、好きな本との出会いは、手が震えるようであり、夢にまで見るような本もある。

 本好きで、学生時代から古本屋に入り浸り、「古書通信」などにも時々、駄文を書いていた父の部屋には、古本の匂いが満ちていた。子供の頃から、本の匂いに囲まれ、書庫の本を眺めるのが好きだった私も、気づくと本を買い集めるようになっていた。

 父のところに古本屋さんの店主がふらりと訪れることもしばしばあったが、そのおひとりが、本好きの間では知る人ぞ知る、東京大森にある古書店「山王書房」の関口良雄さんだった。私は幼かったので「お酒の好きだった古本屋さんのおじちゃん」という印象しか残っていない。お店の方も、父の友人の画家、仲田良江さんと、そのご主人の仲田定之助さん(「明治商売往来」でエッセイスト賞受賞)の家に私もついて行って、その近所にある「山王書房」に立ち寄ったということを、うっすらと覚えているだけだ。

 この「昔日の客」の本は父の本棚にずっと入っていたが、私は知らなかった。先日、関口さんの未亡人、洋子さんが「復刻版が出ましたので、ぜひ」とお持ち下さって、改めて読ませていただいたところ、すっかり夢中になってしまった。

 

 この本は、関口さんが還暦を記念して随筆集を出そうと纏めはじめたものの病に伏して他界し、ご子息の直人さんがあとを引き継いで出版されたものだ。ところが、この本がなかなか手に入らなくなり、高額で取引されているということを知って、三十三回忌の記念に、復刻版が出されたというわけだ。

 後日、亡父の書棚を見ていたら初版も出てきたので、嬉しいことにこの二冊を手元に置くことになった。

 

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 初版の方は三茶書房から出ていて、焦茶色の布張りで、表紙の右下には金色の銀杏の葉がさりげなく型押しされ、その上に金箔がのっている。函の背表紙にも銀杏の模様。これは、関口さんの俳号「銀杏子」にちなんだものだ。

 まずこの本の佇まいが、すてきだ。なんでもなくて洒落ている。ページを開くと風情のある中表紙、そしてページをめくると、なんと版画家の山高登さんの「銀杏子の散歩道」という版画(本物)があって、1冊ずつ山高さんの直筆のサインが入っている。本文は、なんの変哲も無いと侮るなかれ。選ばれた文字もレイアウトも、とても読みやすくて、気づかないような工夫が凝らされているのが伝わって来る。

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 夏葉社から出た復刻版の方は、美しい草色の布張りで、函はない。銀杏のワンポイントは背表紙のところだけにひとつ。その代わり「山王書房」の店先が山高登さんの小さな版画になっていて、裏表紙に小さく貼られている。ページを開くと本物に劣らないくらいきれいな印刷で、「銀杏子の散歩道」の版画も入っている。

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 二冊の本を並べてつくづく、本好きの方が作った本だなあ…とため息が出た。
関口さんの本文の中で、こう書かれているも

「古い本には、作者の命と共に、その本の生まれた時代の感情といったものがこもっているように思われる。

 大正生まれの私は、大正時代に出た本に最も心が惹かれるのである。大正の本は概して地味である。(中略)色も艶も無い装丁で粗末なハトロン張りの函に入っていたりする本が多い。しかし、これらの本は、見かけは無骨でも、造本はガッチリ出来ている。素朴といえば余りに素朴であるが、私はその素朴さの中に大正という時代の風潮を見るのである。」(「古本」より)

 

 山王書房の近くに下宿していた本好きの青年がいた。「ブルデルの彫刻集」という本が欲しかったが、部屋代と旅費を考えると、千円しか余裕がない。本は千五百円。事情を聞いた関口さんは千円で売ることにした。

 年月を経て、ある日その青年から電話がかかってきた。関口さんはすぐには思い出せなかったが、名前を聞いてそれが芥川賞を受賞した野呂邦暢だとわかった。授賞式にはぜひ出席して欲しいという。

 読者は、この本のタイトル「昔日の客」は、野呂さんから関口さんに渡された本の見返しにあった言葉だったと、この最後のエピソードで気がつく。なんとも洒落たひとこと…。

「昔日の客より感謝をもって」

 

 この本の中には、その昔日の客である、本の収集家や作家や、たくさんの人が登場する。その人たちを見つめる関口さんの目のあたたかさ、そしてさりげないユーモア。品のある文章から、そのお人柄が漂ってくる。このなかでどの話が面白いか、心に残ったかと考えると、とても難しい。どの話もみんな魅力的で捨て難いからである。

 話好きだった関口さんは、お話もとても面白く、本を買うというより その話を聞きに来るお客様が多かったと、直人さんはおっしゃっているが、まさにこの随筆集にはその話術がそのまま詰まっていて、どのエピソードも短編小説の一コマを読んでいるようなのだ。

 冒頭の「正宗白鳥訪問記」からして、その奥様と関口さんの会話、白鳥との会話がとてもおかしい。馬鹿笑いばかりの昨今、心のなかでクスッとする上質の笑いが、乾いた心を潤してくれる。心から作家を尊敬し、よく理解している関口さんならではの随筆なのだ。

 尾崎士郎についてのエピソードはたくさんある。関口さんがはじめて尾崎士郎の家に行ったときの話だ。どんどん進められるままに、ビールを飲んだ関口さんは、したたか酔ってしまい、先生の前で唄って踊り、家に帰る頃にはそのことをすっかり忘れてしまった。尾崎先生の前で失礼な、と家人に叱られた翌日、尾崎先生を紹介してくれたお客さんが先生からの言伝を持ってやってくる。

「昨日来た古本屋の関口は面白い男だ。俺のところへ来て、しょっぱなから唄って踊ったやつは関口だけだ。これからちょいちょい遊びに来るように伝えてくれ」

 このほか、お酒を飲んで「しまった!」という話のなんと多い事…。

 

 今年7000冊の蔵書を処分した私にとって、大切にしていた本を売るときの、客たちのエピソードは読んでいて他人事ではなかった。一度売った本を買い戻し、その裏表紙に

「なぜ私はこの本を売ったのだろう。キリストを大衆の前に売り付けたユダの心にも勝って醜いことだと私は思った。(後略)」

と書き込んだ人の想い。一冊の古本には、たくさんの人の想いが詰まっている。

 

 本好きが昂じた関口さんは、なんと敬愛している二人の作家の「全著書」を写真版に収め、「上林暁文学書目」「尾崎一雄文学書目」という、二冊の文学書目を自ら作ってしまった。これは、とんでもなく大変な作業である。かかる費用だって半端ではない。特別な布などで装丁された異装本は、秘蔵されていて門外不出のためになかなか手に入らない。戦災で消失したり、探すのに十年もかかった本もある。

 そんな関口さんのことをご子息の直人さんは誇らしく思うと言って、後書きで次のような父の言葉を引用している。

「古本屋というのは、確かに古本というものの売買を生業としているんですが、私は常々こう思っているんです。古本屋という職業は、一冊の本に込められた作家、詩人の魂を扱う仕事なんだって。ですから私が敬愛する作家の本達は、たとえ何年も売れなかろうが、棚にいつまでも置いておきたいと思うんですよ」


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「昔日の客」を読んでいると、

自分の持っている本たちが、限りなく愛おしく思えてくる。

どうしても処分することのできなかった、手元に残った本たち

その中にこの本も加えて、大切にしていきたいと思う。

 

実は、2017年1月21日、千代田区立内幸町ホールでこの「昔日の客」から抜粋して朗読する事にした。

http://www.saharu-k.com/korekara/korekara.html

未亡人の関口洋子さん、ご子息の直人さんもいらしてくださるとのこと。関口さんに関するいろいろなお話も伺えそうだ。

 なお12月4日、朝日新聞の「折々のことば」でこの「昔日の客」がとりあげられた。





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夢二繪手本

           竹久夢二が、こどものために描いた絵のお手本。 大正3年の初版本。 夢二の絵のエッセンスが詰まっています。 私の最初の絵本。 こんな昔の時代の絵本に囲まれて育ちました。 大正3年というと、父が生まれる前だから、祖父母が伯母たちのために買ったものかもしれませんね。 ところどころ、旧仮名に棒線をひいて 新仮名になおしてあるところをみると どうも、父が私の為に、読めるようにしてくれたようです。 鉛筆の書き込みや、色を塗ったのは…これはひょっとして私かしら? 明治末〜大正初期の、美意識が息づいています。 そのころの日本には、西洋絵画がたくさん入ってきて それに夢二も影響を受けていたのがよくわかります。 夢二のスケッチブックを持っていたことがありました。 夢二の子供が描いた絵に混じって 夢二自身が絵を描いてみせたりしています。そこには 「はい、これが自動車」 とかなんとか言いながら描いている様子が伝わって来るようで、 その絵の上に、子供のいたづら描きがあったり、 せっかくの夢二の絵を、鉛筆でぐしゃにしてしまったり… そんなページもありました。 夢二のそんなプライベートなスケッチブックを思い出しながら そういう中から こんな本ができたのだろうなあと 想像しています。 日本的なものと、西洋的なものが入り混じり、流行の最先端のものも描かれていて、この時代が伝わってきます。 最後のこの絵からは、夢二が西洋絵画に興味を持っていたのがよくわかります。これまでの日本画にはあまり見られない構図ですね。

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東京パック



家を整理していたら、日本て初めてのカラー漫画雑誌
「東京パック」(「大阪パック」も合わせると80冊近く)が大量に出てきました。

今回は珍しくYouTubeに動画でもアップしました。




明治38年に創刊し、大正の初めまで(厳密には、昭和16年まで)続いた月2回の月刊誌。
初めの頃は北沢楽天が主筆で、サイズはひとまわり大きめのB4。12ページ。
この北沢楽天という方、素晴らしい絵だと思ったら、なんと仏蘭西のレジオン•ドヌール勲章を受けています。
社会を風刺した庶民の娯楽として、日露戦争をバックにどんどん部数を伸ばし、一時は10万部も売れていました。
値段も10銭と、当時でも安く、なによりカラーというのがとても新鮮に映ったそうです。
スタッフには、川端龍子や坂本繁二郎など、日本画家の錚々たる名が連なっています。
新聞や雑誌では見られない、あの時代の空気が伝わってきて、とにかく面白い。



ではYouTubeも覗いてみてくださいね。
こちらも購読してくださると、新しい本の動画が次々にアップされていきます。



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高岡重蔵 活版習作集



本を10分の1に減らそうとの断捨離の最中、
またまた心惹かれる本に出逢ってしまいました。
子供の頃からタイポグラフィの美しい文字が好きでした。
海外で高い評価を得た、嘉瑞工房の高岡重蔵の活版印刷。



1970年代を中心に制作された作品150点以上が収められています。ページをめくるごとに、整然とした組み文字が飛び込んできます。ため息が出るほど美しい文字…圧巻。




「この本は僕の『作品集』じゃあない。
あくまで一介の欧文組版工による『習作集』。
むしろ僕は、それを誇りに思っている。」

「文字というものは読むためにある。記録するためにある。
だから、読みよくなければならない。
形だけで遊んじゃ駄目。」
                前口上より




パソコンやワープロの文字を見ていて、その文字の間隔、大小のバランスにいつも違和感を感じていました。
ここに出てくる文字は、欧文も和文も、匂いや温かさを感じます。
にんげんの 体温を感じるのです。
こういう文化をまだ守っているところが残っていること、
しかもそこには一流の技術と美的感覚が存在することに、
なんだかホッとしてしまいました。




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心に残る音



舞台音響の草分け、辻亨二さんによる、
芝居の効果音をテーマにしたエッセイ集です。

以前、朗読の公演を企画した時に
どなたかゲストを招いて「音」をテーマにトークショーをやってみようと思いつきました。
そのときにゲストで出演してくださったのがこの辻さんです。
その話芸に聞き惚れました。
打ち合わせで事務所にお邪魔したのはいいけれど、
面白くて面白くて、このまま一日中打ち合わせをしていたいと思ってしまいます。いっぺんにファンになりました。
朗読の合間のおしゃべりだけではもったいない、
トークショーだけでひとつの公演にすれば良かったと後悔した程です。

そんな辻さんの口調がそのままエッセイになっているのがこの本です。
話芸の達者な方は、文章も生き生きしています。
ナマの舞台でアナログの音作り
その悪戦苦闘ぶりが、読んでいると面白いこと!
昭和30年代の舞台の様子が、まるで現場にいるよう。
大矢市次郎、先代の水谷八重子、伊志井寛、川口松太郎、宇野信夫、北條秀司、その他歌舞伎の名優達とのやり取りが、伝わってきます。
舞台でナマの音を作る苦労。
霧の音を作れと言われて苦労した話。

花柳章太郎が「大つごもり」の おみね を演じた時の話。
車井戸から何度も水をくみ上げるシーンがあります。
過酷な労働と薄幸な娘を印象づけるシーン。
身体の大きい男が小娘を演じるためには、
井戸を深くしないと、その感じが出ない。
「キュルキュル」と井戸の車がきしみ
「ドボン」と水面に当たる音。
その間をあけることで、井戸の深さを想像させます。
老優が17才の娘を演じる為に
花柳さんは身体と格闘しながら、この過酷なシーンをこなし、
日に日に、汲み上げ回数を減らさざるをえなくなり、
ついに代役に変わって そのまま亡くなられました。
「キュルキュル」と「ドボン」の間を詰めれば楽だったけれど、
最後までそれに こだわり続けた名優のお話です。

声による犬の喧嘩が、天才的だった加納さんの話。
迫真の喧嘩の凄さをレコードに録音したところ、
加納さんと大げんかをした勢いで、
その場で盤を割ってしまいました。
しかしその後加納さんは、もう闘犬の声が出せなくなり、
録音は幻になってしまった…
土佐犬がスピッツになってしまったという話。
その猛烈な犬の喧嘩の迫力が伝わってきます。


 音響の本は、岩渕東洋男さん、園田芳龍さんなどの名著はありますが、辻さんのこの本は、まさに名随筆。
折に触れて、私も朗読でとりあげて、ご紹介させていただいています。

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そっくりなキャラクター



子供の頃に、渋谷の恋文横町にあった洋書屋さんで買ってもらった
アメリカの漫画の本。
(アダムスファミリーに続いての、第2弾!)
かたや、昭和30年代、テレビの人気ドラマ「一丁目一番地」の漫画。
このキャラクターが、なんと瓜二つなのを発見しました。
主人公の少年、お父さん、お母さん、服装、ヘアスタイルなど、
どうぞごゆっくりごらんください。
それにしても、ここまで真似して、大丈夫だったのかしら?







お父さんも、どうみてもそっくりでしょ。



主人公の着てる、オーバーオールのポケットの位置まで同じ!






着物と蝶ネクタイと、服は違うけど…



この不思議なお母さんのヘアスタイル。金髪と黒髪の違いはあるけど。
バックスタイルまでそっくりですね。

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小檜山賢二 写真集「象虫」



またまた、へんな写真集を!という皆様の声が聞こえてきそうです。
そう、前回は「粘菌」でしたものね。
ほとんど気づかない程ちいさな象虫を拡大すると
「生きた工芸品」と言われるのがわかります。

ページを写真に撮って載せているので、
この美しさが伝わらないのは残念ですが
隅から隅までピントがあっているという、特殊な撮影をしているそうです。



象虫ってなんとも奇妙な虫です。
昆虫の中でこんなにユーモラスでユニークで
変化に富んだ虫がいるでしょうか。
写真集を見ていると、
「これ、全部が象虫?!」って思う程
顔も身体も、手足も触覚も、その種類の豊富なこと。



ゾウみたいな長~い鼻(いやいや口らしい)のあるのから
キリンみたいに首の長いのから
宇宙人みたいな顔したのから
触覚の長いの、手足の細長いの、
ハリネズミみたいなのから、毛むくじゃらの、ツヤツヤ光ってるの
色だって、真っ白もいれば、緑と青の美しいグラデーションの、オレンジと黒のスタイリッシュなの、大胆な水玉模様のと、あげだしたら止まりません。



この本も、他のページも丸ごと ご紹介したいくらいです。
どれもこれも漫画のキャラクターにピッタリ…
いや、そう言う方々は
もうすでにここからヒントを得ているでしょう。



一番有名なのは、葉っぱを切ってクルクル巻いてその中に卵を産む、オトシブミでしょう。
それにしても、象虫なんて見たことない…と思っていたら、
それもそのはず、数ミリぐらいの小さな虫なのですもの。

これに夢中になって写真集を出した小檜山賢二さんという方も
象虫に負けず劣らす変わった方とお見受けします。
プロフィールを見ると、デジタル無線通信のスペシャリティーなのですね。元NTT無線システム研究所所長、慶応大学名誉教授などの肩書きも。

大の大人を夢中にさせる象虫の世界。
私も思わず、象虫ピアス(原寸大、数㍉)をみつけて、密かに楽しんでおります。
変な写真集は、まだありますぞ~。

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内田百閒の絵本「王様の背中」







まず、この本をめくって圧倒されるのが、版画の迫力。
内田百閒による9編の短編童話集です。

最初にページをあけると、序(はじめ)に、
「この本のお話には、教訓はなんにも含まれておりませんから、
皆さんは安心して読んで下さい。」
と、あります。「安心してください」というのがいいですね。
百閒らしさはここからはじまります。わかる、わかる。





総ルビも嬉しい。
赤い文字が版画を引き立てております。




「王様の背中」
痒くて痒くて、ひたすら身体を掻きまくる王様のはなし。
手では届かずに、棒を使ってもだめ、壁を使っても駄目、ジリジリしながら、最後までひたすら大騒ぎして掻いている…それだけのお話。…というところが、なんとも百間らしい。
「王様は膝をついて、背中をうねくね動かしました。」
「うねくね」 って言い方、いいなぁ。




この猫の迫力ある構図!
ちいさな武士はネズミ達です。




「桃太郎」
桃太郎が生まれた後の桃の実は、どうなったかという話。




「狸の勘違ひ」
動物園の檻に入れられた狸が、見物の人間たちを観察し、この人達は自分に化かされて、自らやって来ているのだと思い込んで楽しんでいる話。

とにかく、どの話も、オチちも何もない、さあ、次はどうなるだろうと思って読んでいくが、最後まで何にもない。それなのに、その話そのものが百閒らしくて、ぐいぐい引きずり込まれます。まさに百閒と、安規ワールド炸裂です。

この装丁・挿絵の谷中安規という版画家は
いったい何者なのでしょう。

版画家谷中安規(1897-1946)
独学で版画を学んでいます。
谷中が『王様の背中』の装丁、挿絵を手がけたのは、
詩人佐藤春夫が紹介したからだそうです。
日夏耿之介にも愛されていました。

百閒は
「初めは谷中氏に挿絵を描いて貰ふと云ふつもりであったのが、
出来上がって見ると、谷中安規版画集の趣きがある」
と称賛しています。

安規のことは、TV「美の巨人たち」もとりあげたのですね

貧窮の独身生活を送り、終戦の翌年に50才で栄養失調でなくなった。
内田百閒が彼を敬愛し、「風船画伯」(紐の切れた風船のように突然フラッとどこへ行くかわからない)と名づけ、装丁と挿絵を彼に依頼してつくった絵本が『王様の背中』
安規も百閒に負けず劣らず、奇人です。
「ぼくに就職をすすめることは、間接殺人です」

特装本と普及本が出版され、特装本には手摺版画も入っています。
私のは昭和9年の初版でしたが(1圓20銭)
限定200部という文字はないから普及本かな?
限定版だったら古本サイトで65万円の値がついている ひゃ〜
まあ、65万円なくても…旺文社文庫にもなっていました。
復刻版もあります。

ただ今、町田市立国際版画美術館で安規展が開催されているので
早速みてきました。
ここでご紹介した挿絵は、ほとんど展示されていませんでしたが
ときどき、ドキッとするような作品があって
一風変わった版画展は、なかなか面白かったです。
初期はゴシック•ロマン、エロティックでグロテスクなものからスタート。
戦前のモダン都市東京の光と闇の世界、
どこか土俗的な匂いのする世界と、
この時代の匂いを濃厚に漂わせています。
百閒とはよほど気があったのか
百閒の本の装丁は、どれも伸び伸びと個性的でした。

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父の夏休みの宿題帖(昭和2年,3年)

尋常小学校2年生、3年生の時の
父の宿題帖が残っていました。




表紙の絵では、
こどもたちは洋服を着ています。
でも、父の通っていた古河市の学校では
生徒は全員着物でした。
父親が東京で買ってきてくれた洋服を着て
学校に行った父は
いじめっ子達から
「これは、セルか?サージか?」と
洋服をつまむふりをして 皮膚をつねられ
泣いて家に帰って
「もう洋服は着ない」
と駄々をこねたそうです。

それにしても夏休みの宿題に
「涼しいうちに」とか「あさのうちに」とか
タイトルが洒落てますよね。




これが小学3年生の問題?!
熊襲征伐
日本武尊
う~ん、いかにも当時の教科書らしいですね。
蠶というのも小学3年生の書き取りに。
小学校低学年で、こんな難しい漢字を読めたんですね。
この頃からすると 今の小学生の
国語力は、だいぶ下がっているのかしら。
現代は漢字が減って、代わりに横文字が入ってきています。




作文の中に「海月」という旅館がでてきます。
大学生の頃まで、毎年夏はここで過ごしていたそうです。
鎌倉、逗子、葉山…昭和初期の頃はどんなだったでしょう?
ネットで探したけれど、この宿はもうありませんでした。
…と書いたら、ネットで見つけてくださった方があります。
「東京雑写」と言うブログで
「鎌倉坂ノ下 萩原朔太郎 海月楼跡 」
と言う記事があったそうです。









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ロナルド•サールの「ワイン手帳」


前半はロナルド•サールのワイン手帖。
ワインを表現する言い回しを、
ワインを人間に例えてイラスト入りで紹介しているのですが、
よくぞこんな…どれも秀逸!
時々開いては、ふふふ…と楽しんでいる本です。
これも全部お見せしたいところですが、
残りは新潮文庫を古本屋さんで見つけてくださいね。
後半は鴨川晴比古のワイン入門です。
開高健の文も楽しい。



「古いワインが見事に熟成している」
なるほどねえ〜



「デリケートさに欠ける」
いいなあ、この親父



「貴腐ぶどうからの」
このキャラクター!
シワの具合も、足の曲がり方も、好き!
目は、あちらの世界にいっちゃってるし。



ワインのイメージを擬人化して
どれもこれも、イメージピッタリで
飲みながら 眺めたい本です。

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鉄腕アトム



毎月本屋さんから届くのを楽しみにしていました。
全巻、増刊号まで勢揃い。
21世紀の物語なのに、
どこか昭和30年代の匂いがするのが面白いところ。
テレビではコバルトはアトムのお兄さんの設定になっていましたが、
漫画では弟になっています。





 これを見ると、服装、建物など、
どこか昭和のレトロな感じがあります。
 この他にも、いろいろ眺めていると、
今から見ると不思議なものがあります。
例えばコンピュータが山のように大きく描かれていたりします。
あの頃はまさか手の平サイズのスマホなど
思いもつかなかったことでしょう。



昭和黒電話が、
21世紀まで残っていると思っていたのでしょうね。



第一巻は、アトムがシリーズになる前の
「アトム大使」が入っています。
新たに描き直したと聞いていますが、
部分的に古い絵も残っています。
時代によってアトムの顔もこんな風に変化していきました。



毎号アトムシールが帯封になっていました。
お正月、こどもの日、など
絵もその季節に合わせたものもあります。
もったいなくて使えませんでした。



毎号、表紙の裏には、「アトムと私」と題した
有名人のエッセイが載っています。
当時は親子で読んでいた人が多いようです。


なかからこんなのがハラリと出てきました。
私が模写していたのですね。

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粘菌

この摩訶不思議な生きものたち。
ムーミン谷に出没するニョロニョロみたいなのがいたり
どうみても地球外生物のようなのがいたり
実は物をじっくり見たことはないのですが
思わず買ってしまった写真集です。



なんと種類の多いこと!



見ていると、漫画のキャラクターになりそうなヤツがいっぱい。
私のイラストにもたくさん登場しています。
南方熊楠が夢中になったのがわかるなあ…

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みだらまんだら

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父の性教育の「教科書」⁉︎
下ネタがテンコ盛りで、子どもの私は笑い転げて…そして知恵熱が出そうでした。
涙を流しながら読んだ、この本には、実は「様々な思い出」があります。

その1)
中学に行って、クラスの悪童?たちから、おかしな知識を植え付けられる前に…
と始まった性教育。小学6年生の夏休みのことです。
カリキュラムに沿って毎週、父の講義がありました。
第1回目は「鮭の産卵」にはじまる動物のはなし。
最終回が「様々な風俗営業」
だったような…
多分父としては、この一環のつもりだったのでしょう。
「俺の本箱に入りきれないから、お前のところに入れておきなさい」
と渡された本の中にあったのがこの本です。

その2)
ある日、机の上に1枚の名刺。
それがなんと、敬愛するイラストレーター、山下勇三さんのお名刺じゃないですか!
夫に聞くと、我が家の隣の1階にデザイン事務所が越してきたので、社長さんがご挨拶に見えたとのこと。
喜び勇んで、ぴゅ〜っと、早速サインをいただきに飛んで行きました。
この本を抱えて。
以来、何かと親しくさせていただいたのは、不思議なご縁です。車やオートバイが好きで、オシャレで、シャイで、親切で…ウチの雑種犬をことの他 可愛がってくださいました。
今は亡き山下勇三さんですが、絵だけではなくエッセイにも、独特の洒落っ気を発揮。
山下さんご自身のエッセイイラスト入りで綴った「オジサンモ考える」も面白くて一気に読みました。

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どうぞ拡大して、隅々までじっくりお読みください。
永六輔さんの文も面白ければ、山下さんのイラストもそれに対抗するべく独立してて、メチャメチャ可笑しい!

あ…永六輔さんとのエピソードもあったけど、それは又の機会にね。

さてさて、この本が私の人生に実用として役立ったか…それはムニャムニャと言葉を濁すことにいたしましょう。












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岩波写真文庫「一年生」

「岩波写真文庫」
とっても薄い写真文庫ですが、
めくっていると、時代の空気が見えてきます。
B4版64ページの小さな本です。
1950年(昭和25年)から1958年(昭和33年)まで
283冊出版されていることがわかりました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/岩波写真文庫
昭和40年代にはカラーブックス、そして「トンボの本」など、
その後似たような内容の本がこれに代わって出てきましたが、
白黒写真が見やすく編集され、
ごく限られた地の文の まとめの見事さはこのシリーズにかないません。

旅、都市、生物、歴史、建築、社会現象…
一番面白いのは、その頃の時代の匂いです。国内外の都市にしても、
その風俗は当時のものがそのまま切り取られ、
まるでタイムマシンに乗ってその場に行ったような感覚。

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今回はその中から
「一年生 〜ある小学校教師の記録」
をご紹介します。

これは表紙と裏表紙です。(100円だったのね)
小学校に入学してきた1年生の、1年間の記録です。
担任の先生が撮った写真なので、素人の写真ですが、
子供達の生き生きとした表情から、愛情が香ってくるようです。

入学前のテストに神妙な顔をしていた子が、
やがて自分でお面をつくり、お芝居をし、
1年の終わりには、こっそり成績表を覗き見。
自由な日常生活の中からいろいろな面を育てていこうという、
先生の辛抱強さや熱意に心を打たれます。
写真からドラマが見えてくる、上質なドキュメンタリー。
(考えたら、まだこの時代にはテレビのドキュメンタリーなんてなかったのね)
 入学式に向かうお母さんでしょうか。みなさん、着物ですね。
子供たちの生きた生活を捉えるのは、
なかなか根気と愛情が必要だと思います。すばらしい先生の記録です。



「すねる」
女の子と距離をあけて座る男の子。
坊主刈りにされて、帽子をとらない子。
すねて教室に入らない子。
先生はじっくり観察しながら、
ひとりひとりに合わせて手を差し伸べています。
この他に、先生の話を聞いていて、
だんだん厭きてくる子どもの動きを捉えたページもあります。
黒板の絵のページはいつまで見ていても厭きません。
きっと先生がいいから、子どもの絵ものびのびしているのでしょう。



「けんか」
「おいおい、写真なんか撮っていないで、早くとめろよ」
今だったらそんな声が聞こえてきそうです。
でも、この先生はそうじゃありません。
社会のルールを覚える第一歩と捉えて
様子を見ている先生の眼差しが目に浮かびます。



「数を数える」
子どもに数を教えるのは大変。
足の指まで出して数えている子も。
辛抱強く見守っている先生の眼差しがやさしい。
それにしても、右下の男の子の表情が真剣。
こういう子って、いたなあ〜。



昭和30年4月4日 朝日新聞の切り抜き。
父の本には、ときどきこんな新聞の切り抜きなんかが挟まっています。

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本に囲まれて

HANIMALS

N.Y.の本屋さんで見つけた写真集
30年前の新婚旅行でのこと…。
その後ずいぶんたってから
日本でもテレビのCMに使われました。
動物の動きも色も、とてもオシャレです。

特に象さんのシワ!
作者の腕の毛までリアルですね。
足も、本には4本並んでのっています。
このほかにも、楽しい写真が満載。
私の宝物です。












本に囲まれて

キネマ旬報 2月上旬号

父の遺した本の中に、「キネマ旬報2月上旬号」があります。
毎年一冊づつ買ってコレクションしていたのです。
「ああ、そうか!」とわかった方はかなりの映画通。
そう、2月上旬号には、前年に封切りされた映画のランキングが発表になるのです。
 そんなわけで、これだけとっておけば、
日本でどんな映画が封切りされたか、全てがわかるという仕組みです。

 昭和30年代は国内外、映画史に残るような名作が多く、
映画館で父は胸をときめかせたことでしょう。
 この、2月上旬号コレクションは、
父の後を継いで私も最初は買っていたのですが、
2、3年で買うのを忘れてしまいました。
ふがいない娘でごめんなさい。



当時の銀幕のスターたちが、表紙を飾ります。

それにしても名画の層の厚いこと。
あの小津安二郎の「東京物語」が2位、
「終着駅」が5位、
「ライムライト」でさえ1位じゃない。
まあ、ランクなんでどうでもいいのですが。









審査員は、多い時は40名以上でした。
それぞれの個人名と、点数が書いてあるので、
毎回見ていると、自分とおなじ好みの人などがわかって面白いです。
かなり好みのよって点数が分かれますね。

本に囲まれて

星に憑かれた男



「な〜んだ、グルメ本か」と思ったら、とんでもない!
ミシュランの三つ星レストランになるまでの奮闘ぶりを描いたノンフィクション。
ブルゴーニュの田舎町ソーリューにあるレストラン「ラ・コート・ドール」を舞台に、
シェフの仕事からはじまって、食材探し、スタッフの人間模様、
有名なミシュランガイドの裏事情、サービス業の裏側から見た、人間模様や社会。
食に興味のある人も、ない人にとっても、ドキドキする程面白い!
 きれいごとだけない、ミシュランの星をめぐる、まさに星に憑かれた男の物語。
一気に読み終える面白さ。

 これを読んで、その頃まだ日本ではなかなか手に入らなかったチーズ、
エポワスが食べたくなりました。
ヨーロッパをレンタカーで廻った時に、アンドラの町で見つけ、
早速購入して車に積み込みました。
ところが、季節は夏。
帰国は一週間も先。
 毎日車のドアを開けると、むわぁ!っと強烈な匂いが鼻を襲います。
窓を開けっ放しで運転する日々。
まるで糠漬けをシートにこぼしたよう。
レンタカーを返しにいくと
「何ですかっ、こりゃあ…!!」
とお兄さんが悲鳴をあげました。
説明すると、消臭剤をしこたま撒いていました。
次に借りた方、ゴメンナサイ!

そもそもの出会いは…20年近く前
  社会学者の寺谷弘壬先生の小さなオフィスに、
月に一回、大学の卒業生の先輩後輩が7.8名集まっていました。
あるとき、青山出版社を立ち上げて間もない河村社長が同席されて、
「この本は絶対自信作だ」とプレゼントしてくださったのが
この「星に憑かれた男」でした。
面白かったので一気に読んだけれど、
その直後に改めてゆっくりと読みなおした…という本はめったにありません。

本に囲まれて

恋文横町の洋書屋で見つけたコミック

渋谷の恋文横町ってご存知ですか?
まだ私が幼稚園に行っていた頃、
その恋文横町の名残が残っている一角がありました。
小さな露天のような店が並んでいて、
その中に、洋書を並べた店があったのです。
父がこの界隈が好きで、よく私を連れて散歩に出かけ、
並べてある洋書の中からアメリカの漫画の本を買ってくれました。



どこかで見たキャラクター…
そう、あのアダムスファミリーなんです。



「青酸カリを一杯だけいただけないかしら?」



扉の ギィ~っという音まで聞こえてきそうです。



「ブリッグスさん、もっとあなたのご主人のこと、話してよ」



このお店の雰囲気がいいですね。お友達の時田さんに訳してってお願いしたら…。

「『どれどれ、窓枠の重り、肉切り包丁、金だらい、半インチのロープ50フィート、ズック袋、懐中電灯、ツルハシ、シャベル、石灰20ポンド、葉巻一箱にビーチチェア。』

亜鉛引き鉄板のたらいを金だらいにしちゃってます。窓枠の重りは、こちらの窓を釣る時にロープを窓枠に通すのですが、開け閉めしやすいように重りをぶら下げるのです。窓枠の中なので見えないのですが。」

なるほど、つまり…人を始末する道具ですね。

本に囲まれて

タイムトラベラー 2038年

タイムトラベルの為の旅行ガイドブック。
2038年、時間旅行は一般的なものとなっている…ということを前提にして
旅行の手引きが事細かに記されています。

「1889年のパリの洒落たレストランは?
シカゴ大火災を見晴らす為の格好の場所は?
本書は2038年に初版が発行された、初めてのタイムトラベル用ガイドブックで、以来50年にわたり皆様のご好評を賜り、版を重ねて参りました。公式タイムトラベル用ガイドブックとしてアメリカ連邦タイムトラベル委員会(FTTC)の許可もいただいております。(後略)」
…表紙裏のコメントより。



最初はタイムマシンの予備知識から始まって、だんだん実用書っぽくなってまいります。



「家族でどこに行こうかしら?」
「両親の結婚式に出たいんだけど」
そんな軽いノリですが、微に入り細を穿って、その行き届いていること。
過去から持ち帰れる品物のリスト。
おすすめのコース。
タイムトラベルに関する法律や規制。服装、公衆衛生、旅の体験談、現地での交通手段、服装やメーキャップの注意、旅行代理店、パックツアー、
タイムマシンの種類、ライセンスの取得方法、宿の手配、事故やトラブル、子ども連れの旅、参考資料…等々。本には2038年の広告まで載っています。



こうなると完全に旅のガイドブック。明日にでもタイムマシンに乗れそうなほどリアル。

読んでいると、タイムマシンが現実のもののような錯覚さえしてきます。
相対性理論から歴史の話まで、
著者達が完全にタイムトラベルができると思い込んで書いているので、
その熱気まで伝わってくる、奇書です。



旅の服装の注意も書かれていますが
ここには鎧の着用に関する注意。
金属製なのでオーダーメイドでないと駄目だとか、
汗疹やかぶれを防ぐ方法、
トイレを済ませておくこととか、
春秋のシーズンしか向かないとか…



おすすめのコースも載っています。
午前中はどこをまわるとか
どこから何を見学するとか
食事はどこでとるとか
こうなると、まるで普通の旅行書見たい。



最後に載っているのは、タイムトラベル関連組織・団体
旅行に関して困った問題が起こった場合に、助けになってくれる組織や団体のリスト。ツアーの団体からはじまり、タイムトラベル中毒患者と家族を救済する為の団体とか…まあ、よく考えたこと!

この酔狂の世界にすっかり取り込まれて、ついに最後まで 舐めるように読んでしまいました。

プロフィール

はんがん

Author:はんがん
河崎早春(かわさき さはる)
俳優、朗読家。NPO日本朗読文化協会講師。

舞台の案内、これまでの舞台、仕事歴は
公式HP 「ことばの国」

朗読、語りの様子はYouTube
「ちりぢごく」「瘤取り」ほか


プライベートな 趣味の世界は Facebook

なお、武者小路実篤記念館のHPで
詩の朗読の映像も見られます。
→ 「詩の世界」

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